自分を大切にできるようになると、人生はどう変わる?

カウンセリングをしていると、

「自分を大切にするって、どういうことですか?」

と聞かれることがあります。

自分を大切にするというと、

好きなことをすること。
自分にご褒美をあげること。
無理をしないこと。

そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。

もちろん、それも大切なことです。

でも、カウンセリングでお伝えしている「自分を大切にする」ということは、もう少し深いところにあります。

それは、

自分の気持ちを無視しないこと。
自分の感覚を否定しないこと。
そして、自分の人生を自分の気持ちに沿って選んでいくこと。

だと私は考えています。

そして、自分を大切にできるようになると、不思議なくらい人生のいろいろな部分が変わっていきます。

生きづらさを抱えている人ほど、自分を後回しにしている

「人に嫌われるのが怖い」

「断ることが苦手」

「いつも人の顔色を気にしてしまう」

「ちゃんとしなければ、と思ってしまう」

「何をしても自分に自信が持てない」

こうした悩みを抱えている方のお話を聞いていると、自分よりも周りの人を優先することが習慣になっていることがあります。

本当は嫌なのに、「大丈夫です」と言ってしまう。

疲れているのに、頑張ってしまう。

傷ついたのに、

「こんなことで傷つく私がおかしい」

と、自分の気持ちを否定してしまう。

そうやって自分の気持ちを後回しにすることが長く続くと、

「自分がどうしたいのかわからない」

という状態になることがあります。

自分の気持ちがなくなったわけではありません。

ずっと周りを優先してきたために、自分の気持ちを感じ取ることが難しくなっているのです。

自分を大切にする最初の一歩は「自分の気持ちに気づくこと」

だから、最初から

「自分を好きになりましょう」

「自分に自信を持ちましょう」

と頑張る必要はありません。

むしろ最初にしてほしいのは、とてもシンプルなことです。

「私は今、どう感じている?」

と自分に聞いてみること。

嫌だった。

悲しかった。

寂しかった。

怖かった。

本当は断りたかった。

少し休みたい。

誰かにわかってほしかった。

そんな気持ちに気づいたとき、

「そんなことを思っちゃダメ」

と否定するのではなく、

「そう感じていたんだね」

と受け止めてみる。

これも、自分を大切にすることのひとつです。

自分を大切にすると、人間関係が変わり始める

自分の気持ちを大切にできるようになると、人との関わり方にも変化が出てきます。

無理なことを断れるようになったり、

嫌なことには距離を取れるようになったり、

「私はこう思う」と自分の気持ちを伝えられるようになったりします。

すると、それまでの人間関係が変化することがあります。

もしかすると、離れていく人もいるかもしれません。

それを怖いと感じる方もいるでしょう。

でも、自分が我慢し続けなければ成り立たない関係と、

自分らしくいても大切にしてもらえる関係は、

同じではありません。

自分を大切にするようになると、

「誰に好かれるか」だけではなく、「誰といると自分が安心できるか」

という視点を持てるようになっていきます。

自分を責める時間が減っていく

生きづらさを抱えている方の中には、自分にとても厳しい方がいます。

失敗すると、

「どうしてこんなこともできないんだろう」

人とうまくいかないと、

「きっと私が悪いんだ」

疲れて何もできない日は、

「私は怠けている」

と、自分を責めてしまう。

でも、自分を大切にすることを覚えていくと、自分への言葉が少しずつ変わってきます。

「今日はしんどかったんだね」

「それでも、よく頑張ったね」

「失敗したけれど、それで私の価値がなくなるわけじゃない」

そんなふうに、自分に対して少しずつ優しい視点を持てるようになります。

これは、自分を甘やかすことではありません。

むしろ、自分を責め続けるのではなく、

今の自分を理解したうえで、これからどうしていくかを考えられるようになること。

それが、自分を大切にするということなのだと思います。

「正解」ではなく「私はどうしたい?」で選べるようになる

自分を大切にできるようになると、人生の選択にも変化が起こります。

「普通はどうするの?」

「みんなからどう思われる?」

「どちらを選べば間違いじゃない?」

ではなく、

「私はどうしたい?」

という基準が少しずつ育っていきます。

仕事。

恋愛。

結婚。

友人関係。

家族との距離。

休日の過ごし方。

人生には、たくさんの選択があります。

その一つひとつを、自分の気持ちを無視して選ぶのか。

それとも、自分の気持ちも大切にしながら選ぶのか。

この違いは、長い目で見ると人生全体に大きな違いを生みます。

自分を大切にすると「人生が好転する」とは

自分を大切にできるようになったからといって、嫌なことが一切起きなくなるわけではありません。

人に嫌われることもあるでしょう。

失敗する日もあります。

思い通りにならないこともあります。

それでも、以前とは違うことがあります。

それは、

何かあったとき、自分まで自分を見捨てなくなることです。

誰かに否定されたときも、

「私はダメなんだ」

と一緒になって自分を否定するのではなく、

「傷ついたね」

と自分の気持ちを受け止められる。

疲れているときには、休ませてあげられる。

苦しい環境にいるなら、そこから離れる方法を考えられる。

やってみたいことがあるなら、

「どうせ無理」

だけで終わらせず、自分の気持ちを応援してあげられる。

そうすると、選ぶ人が変わります。

選ぶ環境が変わります。

時間の使い方が変わります。

自分にかける言葉が変わります。

そして、その小さな変化が積み重なって、人生全体が少しずつ変わっていくのです。

自分を大切にすることは、自分との関係を築き直すこと

もし今、

「自分を大切にできていないかもしれない」

と思ったとしても、自分を責める必要はありません。

これまで自分より周りを優先することで、人間関係を守ってきたのかもしれません。

我慢することが、そのときの自分にとって必要だったこともあるでしょう。

だから、急に変わろうとしなくてもいいのです。

まずは一日の中で、ときどき自分に聞いてみてください。

「私は今、どんな気持ち?」

そして、もうひとつ。

「本当は、どうしたい?」

すぐに答えが出なくても構いません。

自分の気持ちを聞こうとすることそのものが、自分を大切にする練習になります。

これまでずっと周りの声を聞いて生きてきたのなら、

これからは少しずつ、自分の声も聞いてあげる。

そうやって自分との関係を築き直していくと、

「誰かに認めてもらわなければ大丈夫になれない人生」から、

「何があっても、自分だけは自分の味方でいられる人生」

へと少しずつ変わっていきます。

自分を大切にするということは、

人生を完璧にすることではありません。

自分の人生を、自分と一緒に生きていけるようになること。

生きづらさから抜け出していく道は、そんなところから始まっていくのかもしれません。