朝、窓を開けると、
まだ眠たそうな空がゆっくりと広がっていました。
その空の端っこを、ひとすじの風がすべっていきます。
強くもなく、弱くもなく、
ただ「ここにいるよ」と知らせるような、
やさしい風。
そんな風がふく日は、
心の奥にしまっていた小さな気持ちが、
そっと顔を出してくれる気がします。
「本当は、ちょっと疲れていたんだよ」
「少しだけ、誰かに甘えたかったんだよ」
「がんばりすぎていたんだよ」
風は、責めることなく、
ただその気持ちを撫でていきます。
まるで、 “言ってくれてありがとう”
とでも言うように。
人は、いつも強くなくていい。
いつも前向きじゃなくていい。
ときどき立ち止まって、 深呼吸をひとつするだけで、
心の中の景色はすこし変わる。
その変化を運んでくれるのが、
やさしい風なのかもしれません。
今日も、どこかで誰かが、
自分の気持ちを抱えきれずに
立ち止まっているかもしれない。
そんな人の肩にも、
そっと風が触れてくれたらいい。
「大丈夫だよ」と言わなくても、
ただそばにいてくれるだけでいい。
やさしい風は、
言葉よりも静かで、
励ましよりも控えめで、
でも確かに心を動かす力を持っています。
だから私は今日も願います。
今日も、やさしい風がそっと吹きますように。
誰かの心に、
ほんの少しの余白と、
あたたかい光が届きますように。


